【心電図検定公式問題集の解説】問題9:早期再分極。

問題解説

心電図検定公式問題集の解説

※ 心電図検定公式問題集(2級/3級、改訂3版)の問題を解説しています。

問題9:早期再分極の心電図所見

背景21歳、男性。健康診断の心電図でST上昇を指摘された。
リズム:洞不整脈(1拍目と2拍目、2拍目と3拍目のRR間隔が異なる)。
心拍数:約 50 /分。
:正軸(Ⅰ、aVF誘導ともにQRS波の和が陽性)。
P波:正常(高さ、幅)。洞調律(Ⅰ、Ⅱ、aVF誘導で陽性P波)。
PR間隔:正常、0.10 秒程度(2.5 mm程度)。
QRS波:幅 0.10 秒程度(2.0~2.5 mm程度)。RV1 = 0.6 mV程度。RV5 = 2.7 mV程度。移行帯はV3-V4誘導。Ⅱ、Ⅲ、aVF、V5~V6誘導でq波を認める。
ST部分Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、aVF、V1~V6誘導でST上昇を認める。QRS波直後の明らかなノッチ(J波)は伴わない。
T波:正常。

これらの心電図所見より、選択肢の中では「早期再分極」が最も疑われる。

判読のポイント

冠動脈支配領域に一致しないST上昇を認め、早期再分極が疑われる。
若年、健常人によくみられる。

早期再分極症候群とは?

① 再分極が早期に起こることによって生じる。
早期再分極症候群の診断基準は定まっていない
下壁誘導(Ⅱ、Ⅲ、aVF)または側壁誘導(Ⅰ、aVL、V5-V6)のいずれか2誘導以上において0.1mV以上のスラー型orノッチ型のJ点上昇が典型的な所見。
④ 早期再分極症候群とJ波症候群はオーバーラップする概念である。
⑤ 従来、正常亜型として扱われていたが、一部に心室細動を起こす報告がある。
→ 下壁誘導で 0.2 mV以上のJ波増高を認める症例では年間心臓死亡率が1.5%、不整脈死が0.8%前後と報告されている。
⑥ まだはっきりと原因がわかっていないため特別な精査を勧める必要は現時点ではない

鑑別を要する心電図

急性心筋梗塞
→ 症状、冠動脈支配領域に一致したST上昇、異常Q波などから見分ける。
急性心膜炎
→ 症状、ほぼ全誘導での凹型のST上昇、PR低下(心房に炎症が波及した場合)などから見分ける。

心電図検定対策におすすめの本

改訂3版 心電図検定公式問題集(2級/3級)

改訂3版 心電図検定公式問題集(2級/3級)
オススメ度:★★★


日本不整脈心電学会が出版している公式問題集です。
② 2~3級の受験者を対象とした本ですが、1級相当の問題が19問あります。
③ 最初にこの本で現時点の実力を測ると良いと思います。
④ おすすめの人:すべての受験者(1級~4級)

実力心電図 ―「読める」のその先へ

実力心電図 ―「読める」のその先へ
オススメ度:★★★


日本不整脈心電学会が出版している書籍です。
② 心電図の基礎知識と代表的な疾患の心電図を網羅しています。
大型本で見やすく解説や鑑別のポイントが充実しています。
④ おすすめの人:すべての受験者(1級~4級)

レジデントのための これだけ心電図

レジデントのための これだけ心電図
オススメ度:★★


① 研修医向けの本ですが、心電図を全くの基礎から学びたい人におすすめです。
② 本書のような易しい本でザッと全体像を理解しておくと勉強が楽になります。
③ 一方で、ある程度心電図の知識がある人には物足りないかもしれません。
④ おすすめの人:初学者(3級~4級)

楽しく学んで好きになる!心電図トレーニングクイズ

楽しく学んで好きになる!心電図トレーニングクイズ
オススメ度:★★★


30例の心電図を通して心電図判読の基本から応用まで解説されています。
② 心電図から「鑑別疾患を考えるトレーニング」ができます。
→ 心電図検定で試される力です。
解説が非常に丁寧であり、初学者でもつまづくことなく理解できます。
④ おすすめの人:初学者~中級者(2級~4級)

続・楽しく学んで好きになる! 心電図トレーニングクイズ2

続・楽しく学んで好きになる! 心電図トレーニングクイズ2
オススメ度:★★★


①「心電図トレーニングクイズ」の続編です。
② 前作同様、解説が丁寧で詳しいため大変おすすめです。
③ おすすめの人:中級者以上(1級~2級)

心電図のみかた、考えかた 応用編

心電図のみかた、考えかた 応用編
オススメ度:★★★


① 医師向けの本ですが、実践的な心電図判読の考え方が対話形式で解説されています。
→ 対話形式なのでスイスイ読んでいくことができます。
もう一段上の知識を付けたい人に確実におすすめできます。
③ おすすめの人:中級者以上(1級~2級)