【心電図検定公式問題集の解説】問題11:肢誘導低電位。

問題解説

心電図検定公式問題集の解説

※ 心電図検定公式問題集(2級/3級、改訂3版)の問題を解説しています。

問題11:肢誘導低電位の心電図所見

背景89歳、女性。標準的な体型。呼吸困難で来院した。
リズム:整。
心拍数:約 55 /分。
:左軸偏位(Ⅰ誘導でQRS波の振幅の和が陽性、aVF誘導で陰性)。
移行帯:やや時計方向回転(V4~V5誘導)。
P波Ⅲ、aVF誘導で減高。幅は正常。洞調律(Ⅰ、Ⅱ、aVF誘導で陽性P波)。
PR間隔:正常。0.12 秒程度(2.5~3 mm程度)。
QRS波:幅 0.10 秒程度(2.0~2.5 mm程度)。RV1 = 0 mV。RV5 = 2.0~2.5 mV程度、R波の高さに変動ありV1~V4誘導でQSパターンpoor R wave progression四肢誘導すべてのQRS波の振幅が 0.5 mV以下
ST部分:正常。
T波:Ⅰ、Ⅱ、aVF誘導で平低T波、V6誘導で陰性T波。

これらの心電図所見より、選択肢の中では「肢誘導低電位」が最も疑われる。

※ 本症例では「V1~V4誘導に異常Q波」を認めており「陳旧性前壁中隔梗塞」が疑われる。
※ R波の高さの変動があり(電気的交互脈)、「心嚢液貯留」が疑われる。

判読のポイント

全肢誘導のQRS波の振幅が 0.5 mV以下である。
・QRS波が低電位差を認める場合、P波も減高することが多い。
・減高したP波が心電図の自動診断で認識されない場合がある。
異常Q波の有無やST変化にも注意を要する。

低電位差とは?

① 肢誘導のすべてでQRSの振幅が 0.5 mV未満。
② 胸部誘導のすべてでQRSの振幅が 1 mV未満。
→ これらを満たす場合、「低電位差」という。

低電位差の原因

低電位差は「心臓の起電力が低下した場合」や「起電力が体表に反映されない場合」に生じる。
心臓の起電力低下
→ 広範囲の心筋梗塞、心筋炎、心アミロイドーシス。
心臓の起電力が体表に反映されない場合
→ 全身性浮腫、粘液水腫、心膜液貯留、胸水貯留、高度肺気腫、高度肥満など。

鑑別を要する心電図

① 広範囲の急性心筋梗塞。
② 急性心筋炎。
③ 急性心膜炎。
④ 心アミロイドーシス、ヘモクロマトーシスなど。

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