【心電図検定公式問題集の解説】問題16:移動性ペースメーカ。

問題解説

心電図検定公式問題集の解説

※ 心電図検定公式問題集(2級/3級、改訂3版)の問題を解説しています。

問題16:移動性ペースメーカのホルター心電図所見

背景:54歳、男性。不整脈を自覚して来院した。
リズム:整。
心拍数:約 55 /分。
P波1~5拍目と6~9拍目でP波の形が異なる
PR間隔:正常。0.12秒程度(2.5~3 mm程度)。
QRS波:幅0.10秒程度(2.0~2.5 mm程度)。
ST部分:正常。

これらの心電図所見より、選択肢の中では「移動性ペースメーカ」が正しい。

判読のポイント

P波の波形が記録途中で変化している。

移動性ペースメーカとは?

① 移動性ペースメーカは「刺激発生部位が洞結節内で移動したり、心房の他の部位へ変化したりすること」で生じる。
→ 洞調律とは異なる「異所性P波が数拍以上連続して認められる」状態となる。
迷走神経緊張や薬剤などによって洞結節の自動能が抑制されて生じることが多い。
③ 刺激発生部位が下位心房へ移動するほどⅡ、Ⅲ、aVF誘導のP波の陰性が顕著となる。
④ 刺激発生部位が房室結節に近づくほどPQ間隔は短縮する。
小児や若年者、アスリートなどにも生じ病的意義は乏しい
⑥ 一般的に血行動態に悪影響は与えないため特別な治療は必要としない

ホルター心電図とは?

①「不整脈の検出」と「心筋虚血の有無」を確認するために記録される。
② NASA、CM5誘導は「P波が明瞭に記録できる誘導」である。
③ NASA誘導は筋電図の混入が少ない誘導である。
NASA誘導はV1誘導に近く、CM5誘導はV5誘導に近い

鑑別を要する心電図

心房期外収縮
→ 異所性P波が連続するかどうかなどから見分ける。
→ 心房期外収縮は連発することもある(ショートラン)。
洞不整脈
→ 洞不整脈ではP波が洞性P波であることから見分ける。

心電図検定対策におすすめの本

改訂3版 心電図検定公式問題集(2級/3級)

改訂3版 心電図検定公式問題集(2級/3級)
オススメ度:★★★


日本不整脈心電学会が出版している公式問題集です。
② 2~3級の受験者を対象とした本ですが、1級相当の問題が19問あります。
③ 最初にこの本で現時点の実力を測ると良いと思います。
④ おすすめの人:すべての受験者(1級~4級)

実力心電図 ―「読める」のその先へ

実力心電図 ―「読める」のその先へ
オススメ度:★★★


日本不整脈心電学会が出版している書籍です。
② 心電図の基礎知識と代表的な疾患の心電図を網羅しています。
大型本で見やすく解説や鑑別のポイントが充実しています。
④ おすすめの人:すべての受験者(1級~4級)

レジデントのための これだけ心電図

レジデントのための これだけ心電図
オススメ度:★★


① 研修医向けの本ですが、心電図を全くの基礎から学びたい人におすすめです。
② 本書のような易しい本でザッと全体像を理解しておくと勉強が楽になります。
③ 一方で、ある程度心電図の知識がある人には物足りないかもしれません。
④ おすすめの人:初学者(3級~4級)

楽しく学んで好きになる!心電図トレーニングクイズ

楽しく学んで好きになる!心電図トレーニングクイズ
オススメ度:★★★


30例の心電図を通して心電図判読の基本から応用まで解説されています。
② 心電図から「鑑別疾患を考えるトレーニング」ができます。
→ 心電図検定で試される力です。
解説が非常に丁寧であり、初学者でもつまづくことなく理解できます。
④ おすすめの人:初学者~中級者(2級~4級)

続・楽しく学んで好きになる! 心電図トレーニングクイズ2

続・楽しく学んで好きになる! 心電図トレーニングクイズ2
オススメ度:★★★


①「心電図トレーニングクイズ」の続編です。
② 前作同様、解説が丁寧で詳しいため大変おすすめです。
③ おすすめの人:中級者以上(1級~2級)

心電図のみかた、考えかた 応用編

心電図のみかた、考えかた 応用編
オススメ度:★★★


① 医師向けの本ですが、実践的な心電図判読の考え方が対話形式で解説されています。
→ 対話形式なのでスイスイ読んでいくことができます。
もう一段上の知識を付けたい人に確実におすすめできます。
③ おすすめの人:中級者以上(1級~2級)