【心電図検定公式問題集の解説】問題21:特発性肺動脈性肺高血圧症。~右房負荷、右房拡大~

問題解説

心電図検定公式問題集の解説

※ 心電図検定公式問題集(2級/3級、改訂3版)の問題を解説しています。

問題21:特発性肺動脈性高血圧症の心電図所見

背景:58歳、女性。労作時の息切れあり。
リズム:整。
心拍数:約 75 /分。
:正軸(Ⅰ、aVF誘導ともにQRS波の振幅の和が陽性)。
移行帯反時計方向回転(右脚ブロックあり)。
P波Ⅱ誘導でP波の高さ≧0.25mV。Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導で尖鋭P波。洞調律(Ⅰ、Ⅱ、aVF誘導で陽性P波)。
PR間隔:正常。0.12秒程度(2.5~3 mm程度)。
QRS波:幅0.16秒程度(4mm程度)、延長。完全右脚ブロック(V1誘導でrSR’型、V6誘導で深いS波)。
ST部分:V1~V2誘導で完全右脚ブロックに伴う二次性ST-T変化あり。
T波:正常。

これらの心電図所見より、選択肢の中では「特発性肺動脈性高血圧症」が最も疑われる。

判読のポイント

Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導でP波が0.25mV以上」+「P波の尖鋭化」を認める。
→ 右房負荷(右房拡大)を疑う。
→ 選択肢のうち最も右房負荷をきたしやすい疾患は肺高血圧症

P波の基本

① P波とは「心房の興奮」を反映したもの。
② P波の「初め1/3は右房」、「後半1/3は左房」を表す。
③ 右房は心臓の最も右側にある。
④ 左房は心臓の最も後方にある。
→「洞調律」の場合、心房の興奮方向は「常に左下方向」となる。
→ 「洞調律」の場合、P波は「常にⅠ、Ⅱ、aVFで陽性」となる。
⑤ P波は「右房と左房の興奮が合成」されている。
⑥ 右房拡大(右房負荷)では「高さ」は大きくなるが幅は広がらない。
→ P波の高さ ≧0.25mV(Ⅱ誘導)=右房負荷。
⑦ 左房拡大(左房負荷)では「」が広がる。
→ P波の幅 ≧0.10秒(Ⅱ誘導)=左房負荷。

※心電図の小さな1コマ(1mm)=0.1mV、0.04秒。

反時計方向回転をきたす主な例と随伴所見

健常人
  → 反時計方向回転のみ。
右室肥大
  → 右軸偏位、右房拡大、V1-V2で陰性T波。
完全右脚ブロック
  → QRS幅の延長、V1-V2でrSR´型。
後壁梗塞
  → V1-V2でR波増高、ST低下、T波増高など(鏡面像)。

完全右脚ブロックの心電図所見

① 広いQRS幅(0.12秒以上)。
② V1誘導:rSR´型。
③ Ⅰ、V6誘導:スラー状の幅広いS波。
④ 鑑別:右室肥大、右房負荷、後壁梗塞、WPW症候群(A型)など。

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