【心電図検定公式問題集の解説】問題23:S1S2S3パターン。

問題解説

心電図検定公式問題集の解説

※ 心電図検定公式問題集(2級/3級、改訂3版)の問題を解説しています。

問題23:S1S2S3パターンの心電図所見

背景:74歳、男性。健康診断で心電図異常を指摘された。喫煙歴47年
リズム:整。
心拍数:約 99/分。
極端な右軸偏位、-96°(Ⅱ、Ⅲ誘導でQRSがR<S)
移行帯反時計方向回転(V1誘導)
P波Ⅱ誘導で高いP波を認める(右房負荷)。洞調律(Ⅰ、Ⅱ、aVF誘導で陽性P波)。
PR間隔:正常。0.12秒程度(2.5~3 mm程度)。
QRS波:幅0.10秒程度(2.0~2.5 mm程度)。RV1=0.2mV程度。RV5=1.0mV程度。V4~V6誘導で深いS波を認める。
ST部分:正常。
T波:正常。
その他:11拍目に心室期外収縮(単発)を認める。

これらの心電図所見より、選択肢の中では「S1S2S3パターン」が正しい。

判読のポイント

Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ誘導でR<Sを認める
→ S1S2S3パターンと判断できる。
※本症例ではⅠ誘導のR<Sは微妙だが、他選択肢は簡単に除外できる。

S1S2S3パターンとは?

①「Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ誘導の全てで深いS波」のある心電図(明確な基準はない)。
右室肥大、肺気腫、肺塞栓などでみられるが健常人でもみられる。
※「左脚前枝ブロック」と間違えないように注意。

右室肥大の心電図の基本

① 右軸偏位。
② V1、V2誘導で高いR波+ストレイン型ST-T変化。
③ V5、V6誘導でR波<S波。
※全てを満たす典型的な右室肥大の心電図所見を呈することは稀。
※他の右心負荷所見(右房拡大:Ⅱ誘導の高いP波)等と併せて総合的に判断する。

※本症例では右房負荷+V4~V6誘導で深いS波を認めるため右室肥大が疑われる。

反時計方向回転をきたす主な例と随伴所見

① 健常人
→ 反時計方向回転のみ。
② 右室肥大
→ 右軸偏位、右房拡大、V1-V2で陰性T波。
③ 完全右脚ブロック
→ QRS幅の延長、V1-V2でrSR´型。
④ 後壁梗塞
→ V1-V2でR波増高、ST低下、T波増高など(鏡面像)。

心電図検定対策におすすめの本

改訂3版 心電図検定公式問題集(2級/3級)

改訂3版 心電図検定公式問題集(2級/3級)
オススメ度:★★★


日本不整脈心電学会が出版している公式問題集です。
② 2~3級の受験者を対象とした本ですが、1級相当の問題が19問あります。
③ 最初にこの本で現時点の実力を測ると良いと思います。
④ おすすめの人:すべての受験者(1級~4級)

実力心電図 ―「読める」のその先へ

実力心電図 ―「読める」のその先へ
オススメ度:★★★


日本不整脈心電学会が出版している書籍です。
② 心電図の基礎知識と代表的な疾患の心電図を網羅しています。
大型本で見やすく解説や鑑別のポイントが充実しています。
④ おすすめの人:すべての受験者(1級~4級)

レジデントのための これだけ心電図

レジデントのための これだけ心電図
オススメ度:★★


① 研修医向けの本ですが、心電図を全くの基礎から学びたい人におすすめです。
② 本書のような易しい本でザッと全体像を理解しておくと勉強が楽になります。
③ 一方で、ある程度心電図の知識がある人には物足りないかもしれません。
④ おすすめの人:初学者(3級~4級)

楽しく学んで好きになる!心電図トレーニングクイズ

楽しく学んで好きになる!心電図トレーニングクイズ
オススメ度:★★★


30例の心電図を通して心電図判読の基本から応用まで解説されています。
② 心電図から「鑑別疾患を考えるトレーニング」ができます。
→ 心電図検定で試される力です。
解説が非常に丁寧であり、初学者でもつまづくことなく理解できます。
④ おすすめの人:初学者~中級者(2級~4級)

続・楽しく学んで好きになる! 心電図トレーニングクイズ2

続・楽しく学んで好きになる! 心電図トレーニングクイズ2
オススメ度:★★★


①「心電図トレーニングクイズ」の続編です。
② 前作同様、解説が丁寧で詳しいため大変おすすめです。
③ おすすめの人:中級者以上(1級~2級)

心電図のみかた、考えかた 応用編

心電図のみかた、考えかた 応用編
オススメ度:★★★


① 医師向けの本ですが、実践的な心電図判読の考え方が対話形式で解説されています。
→ 対話形式なのでスイスイ読んでいくことができます。
もう一段上の知識を付けたい人に確実におすすめできます。
③ おすすめの人:中級者以上(1級~2級)