【心電図検定公式問題集の解説】問題57:心房細動。~WPW症候群+心房細動~

問題解説

心電図検定公式問題集の解説

※ 心電図検定公式問題集(2級/3級、改訂3版)の問題を解説しています。

問題57:心房細動の心電図所見

背景38歳、男性。突然に生じた動悸症状を主訴に外来を受診した。
リズム不整
心拍数約 150~300 /分
左軸偏位(Ⅰ誘導でQRS波の振幅の和が陽性、aVF誘導で陰性)。
移行帯:正常(V3~V4誘導)。
P波明らかなP波は確認できない
QRS波幅0.16秒程度(4mm程度)V1誘導でQRS波の初期成分にスラーを認める
ST-T部分V3~V6誘導でST低下を認める。

これらの心電図所見より、選択肢の中では「心房細動」が正しい。
本症例では「WPW症候群に合併した心房細動」であり「年齢」も重要である。

判読のポイント

30代の若年+RR間隔が絶対不整+幅広いQRS波(V1誘導にスラーを認める)
→ (WPW症候群に合併した)心房細動を疑う。

※ 一見、心室頻拍(VT)に見えるが、よく見るとRR間隔が心拍ごとに異なる
※ 「偽性心室頻拍」とも呼ばれるが、日本独自の呼称である。

心房細動とは?

① 心房内に「無秩序な350~600/分の興奮」が起こる。
② 洞結節の興奮は抑制され、「洞性P波は消失」する。
③ 無秩序な心房興奮=基線の細かい不規則な揺れ=「f波」。
心房興奮の一部が心室へ到達し、心室興奮を起こす
→ RR間隔が不整で規則性がない。
→「絶対性不整脈」と呼ばれる。
※心拍数は房室伝導に依存する。
※完全房室ブロックを合併すると補充調律によりRR間隔が整となる。

心房細動の心電図の特徴

① 心房細動の病歴が長くなるとf波は徐々に減高する。
② f波がはっきりしない場合は「洞停止」や「接合部調律」との鑑別を要する。
③ 心房細動に完全房室ブロックを合併すると「RR間隔が整」になりうる(著明な徐脈となる)。
④ 心房細動でも「心室期外収縮」はみられることがある。

心房細動の分類

① 7日以内に自然停止するもの=発作性心房細動。
② 7日以上続き、薬剤や除細動で停止するもの=持続性心房細動。
③ 停止しないもの=永続性心房細動。

WPW症候群とは?

先天的に心房と心室の間に副伝導路が存在する状態
② 有病率は1000人に1人と多く、日本では約12万人程度と推定される。
② WPW症候群にはA型、B型、C型のパターンがある。
③ 基本的にはV1誘導の波形で見分ける。
④ A型:Kent束が左房~左室間に存在。
→「右脚ブロック型」となる
⑤ B型:Kent束が右房-右室間に存在。
→「左脚ブロック型」
⑥ C型:副伝導路が中隔に存在。
→ V1で陰性デルタ波。
→ ほかⅠ、Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導等とあわせて判断。
⑦ WPW症候群の4つの特徴。
  PR間隔の短縮
  QRS幅の増大
  QRS初期成分にslur状のデルタ波
  ST-T異常

※ 本症例ではV1誘導でQRS波の初期成分にスラーを認める

RR間隔が変動する広いQRS幅の頻拍(Irregular wide QRS tachycardia)の主な鑑別

① 変行伝導を伴う心房細動。
WPW症候群+心房細動
③ 変行伝導を伴う心房粗動・心房頻拍で房室伝導比が変動する場合。
④ 多形性心室頻拍、TdP。

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