心電図検定公式問題集の解説
※ 心電図検定公式問題集(2級/3級、改訂3版)の問題を解説しています。
問題60:心室頻拍のホルター心電図所見
背景:17歳、女性。動悸を主訴に外来を受診した。
リズム:上段:整、中段・下段:不整。
心拍数:約300/分。
P波:正常(高さ、幅)。
QRS波:上段:心室期外収縮の二段脈、中段~下段:心室期外収縮から連発(心室頻拍)へ移行している。
ST-T部分:心室期外収縮時には二次性ST-T変化あり。
これらの心電図所見より、選択肢の中では「心室頻拍」が正しい。
判読のポイント
幅広いQRS波の頻拍+明らかなP波は確認できない
→ 心室頻拍と判断できる。
ホルター心電図とは?
①「不整脈の検出」と「心筋虚血の有無」を確認するために記録される。
② NASA、CM5誘導は「P波が明瞭に記録できる誘導」である。
③ NASA誘導は筋電図の混入が少ない誘導である。
④ NASA誘導はV1誘導に近く、CM5誘導はV5誘導に近い。
心室頻拍とは?
① 心室を発生源とする不整脈。
② 心室期外収縮が連続で起きたものともいえる。
③ 3拍以上にわたり心拍数が120/分以上となる状態。
④ しばしば増悪して心室細動に移行、心停止を引き起こす。
⑤ 脚ブロック型のQRS波でRR間隔が一定の頻拍。
⑥ P波はほとんどの場合確認できない。
⑦「洞捕捉、房室解離、P波脱落」などがある場合、心室頻拍と診断できる。
⑧ 原因は「異所性興奮の旋回、心筋細胞の自動能亢進」など。
幅広いQRS波の頻拍(wide QRS tachycarida)の主な鑑別
① 心室頻拍。
② 脚ブロックや変行伝導を伴う上室頻拍。
③ WPW症候群+心房細動。
「心室頻拍」と「変行伝導を伴う上室頻拍」の基本的な鑑別
① 心筋梗塞・心筋症などの基礎疾患を有する = 心室頻拍の可能性が高い。
② QRS波の幅が0.16秒以上、左軸偏位、胸部誘導のQRS波の極性が同一 = 心室頻拍の可能性が高い。
③ 右脚ブロック型+V6誘導でQS型 or rS型 = 心室頻拍が示唆される。
④ V1誘導で二相性の右脚ブロック=上室頻拍が示唆される。
⑤ 左脚ブロック型+V1誘導のS波にノッチがある = 心室頻拍が示唆される。
⑥ 房室解離(融合収縮、心室捕捉)がある = 心室頻拍と診断できる。
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改訂3版 心電図検定公式問題集(2級/3級)
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実力心電図 ―「読める」のその先へ
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レジデントのための これだけ心電図
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楽しく学んで好きになる!心電図トレーニングクイズ
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続・楽しく学んで好きになる! 心電図トレーニングクイズ2
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心電図のみかた、考えかた 応用編
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