【心電図検定公式問題集の解説】問題74:右脚ブロック(誤っている選択肢)

問題解説

心電図検定公式問題集の解説

※ 心電図検定公式問題集(2級/3級、改訂3版)の問題を解説しています。

問題:の心電図所見

背景:80歳、女性。糖尿病に対してインスリン療法を受けている。低血糖発作のためブドウ糖液の点滴を受けた後に失神した。
リズム不整
心拍数:約 70/分(洞調律時)。
左軸偏位(Ⅰ誘導でQRS波の振幅の和が陽性、aVF誘導で陰性)。
P波Ⅱ誘導で幅広い二峰性P波、V1誘導で陰性P波を認める
PR間隔:正常、0.12秒程度(洞調律時)。
QRS波:幅 0.12秒程度(洞調律時)。5拍目、6拍目に心房期外収縮を認める。8拍目以降は多形性心室頻拍(torsade de pointes)
ST-T部分:正常(洞調律時)。
QT時間延長(1~3拍目の時点で明らかに延長している)

これらの心電図所見より、選択肢の中では「右脚ブロック」が誤っている選択肢である。
※ V1~V3誘導のQRS波より「左脚ブロック」が示唆される。

判読のポイント

① Ⅱ誘導で幅広いP波+V1誘導で陰性P波
→ 左房負荷(拡大)と判断できる。
② 先行する異所性P波+RR間隔が短縮する期外収縮
→ 心房期外収縮と判断できる。

心房(上室)期外収縮とは?

① RR間隔が「先行するRR間隔よりも短縮」する。
②「先行する異所性P波」を認める。
③ 脚ブロックがない場合、QRS波は洞調律とほぼ同じ形を示す。
※ 心室が不応期を脱する前に興奮が達すると機能的脚ブロック(=変行伝導)を生じる。
※ 変行伝導を伴うQRS波は「右脚ブロック型」が大半を占める。

※ 本症例では、「先行する異所性P波」を認めており、心房期外収縮と判断できる。
※ 幅広いQRS波は「変行伝導」を伴っていると考えられる。

変行伝導(心室内変行伝導)とは?

① 心室が不応期を脱していない時に上室からの興奮が脚に達すると「機能的な脚ブロック」を生じる。
→ これを心室内変行伝導(変行伝導)という。
② 「右脚ブロック型」が大半を占める。
→ 右脚自体が長く障害を受けやすく不応期が長いため。

QT延長とは?

QT間隔が延長した状態(QTc>0.44秒)
多形性心室頻拍(TdP)、心室細動などが誘発され突然死の危険がある。
③ 学校心臓検診では0.006%、乳幼児では0.1%に発見される。
④ 薬剤服用、運動制限などが遵守できれば比較的予後はよいが、突然死を完全に予防することはできない。

QT延長症候群とは?

QT時間の延長+Torsades de pointesを認める。
器質的心疾患のない患者に失神や突然死を引き起こす
先天性と後天性に分けられる
④ 後天性QT延長症候群は薬剤、徐脈、電解質異常、低マグネシウム血症、低カルシウム血症などの二次的要因が原因となる。
⑤ 後天性QT延長症候群は複数の要因が重なっていることが多い。

先天性QT延長症候群の分類

LQT1:大きく幅広いT波
② LQT2:平低化T波、notchを伴うT波
③ LQT3:T波の始まりが遅い
※1~3型が多数を占める。
※1~2型はカリウムチャネルの機能低下により再分極の遅延を生じる。

※ 本症例では若年であり、幅広いT波を認めていることからLQT1が疑われる

後天性QT延長症候群の原因

① 電解質異常:低カリウム、低マグネシウム血症。
② 薬剤性:抗不整脈薬、抗精神病薬、三環系抗うつ薬、抗アレルギー薬、抗菌薬(ニューキノロン、マクロライド、ST合剤)。
③ 脳血管障害:脳出血。

※ 本症例はインスリン療法中のブドウ糖点滴(カリウムの細胞内シフトが起こりやすい状況)であり、低カリウム血症によるQT延長である。

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