ER心電図 Ⅰ:基本編の解説
判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える
※ ER心電図 基本編(初版第4刷2019年4月)の問題を解いています。
※ 実際の心電図と解説については書籍で確認してください。
問題1:正常心電図、洞調律の心電図所見
背景:45歳、女性。無症状。
リズム:整。
心拍数:約 60/分。
軸:正軸(Ⅰ、aVF誘導ともにQRS波の振幅の和が陽性)。
移行帯:正常(V2~V3誘導)。
P波:正常(高さ、幅)。洞調律(Ⅰ、Ⅱ、aVF誘導で陽性P波)。
PR間隔:正常。0.12秒程度(3 mm程度)。
QRS波:幅0.08秒程度(2mm程度)。RV1=0.3mV程度。RV5=1.5mV程度。
ST部分:正常。
T波:正常。
これらの心電図所見より、選択肢の中では「正常心電図、洞調律」と考えられる。
心電図の基準値(目安)
① 心拍数:60~99 /分。
② P波の幅:0.06~0.10 秒。
③ P波の高さ:0.25 mV 以下。
④ PQ時間:0.12~0.20 秒。
⑤ QRS幅:0.06~0.10 秒。
⑥ QTc:0.35~0.44 秒。
⑦ T波の高さ:肢誘導で 0.5 mV 以下、胸部誘導で 1.0 mV 以下。
※心電図の小さな1コマ(1mm)= 0.1 mV、0.04 秒。
洞調律の場合のP波の波形(基本)
① P波とは「心房筋の興奮」を反映したものである。
② P波の「はじめ1/3は右房」、「後半1/3は左房」を表す。
③ 右房は心臓の最も右側にある。
④ 左房は心臓の最も後方にある。
→「洞調律」の場合、心房の興奮方向は「常に左下方向」となる。
→「洞調律」のP波は 常にⅠ、Ⅱ、aVFで陽性 となる。
正常なT波の向き(基本)
①Ⅰ、Ⅱ、aVF、V4~V6誘導:陽性T波 → 正常。
② aVR誘導:陰性T波 → 正常。
③ 他:特になし。
※V1~V3誘導では「陰性T波でも正常」の場合がある。
※Ⅲ、aVL誘導の「単独の陰性T波」は異常としない。
使用している教材
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