ER心電図 Ⅰ:基本編の解説
判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える
※ ER心電図 基本編(初版第4刷2019年4月)の問題を解いています。
※ 実際の心電図と解説については書籍で確認してください。
問題3:Ⅰ度房室ブロックの心電図所見
背景:76歳、男性。呼吸困難。
リズム:整。
心拍数:約 90/分。
軸:正軸(Ⅰ、aVF誘導ともにQRS波の振幅の和が陽性)。
移行帯:正常(V2~V3誘導)。
P波:正常(高さ、幅)。洞調律(Ⅰ、Ⅱ、aVF誘導で陽性P波)。
PR間隔:0.32秒(8mm程度)、延長している。
QRS波:幅0.08秒程度(2mm程度)。RV1=0.2mV程度。RV5=1.3mV程度。
ST部分:正常。
T波:正常。
これらの心電図所見より、「Ⅰ度房室ブロック」と考えられる。
判読のポイント
① PR(PQ)間隔が延長して一定である。
② P波とQRS波が1:1で対応している。
→ Ⅰ度房室ブロックと判断できる。
Ⅰ度房室ブロックとは?
① 原因:房室接合部(房室結節+His束)の伝導遅延。
② PR間隔が延長する(>0.20秒)。
→ 0.24秒以上になるとわかりやすい。
③ PR間隔が常に一定。
④ QRS波の脱落を認めない。
⑤ 無症状で単独の異常であれば経過観察でよい。
⑥ めまい、ふらつき、失神、労作時呼吸困難、易疲労感などの症状に注意。
⑦ 高齢者でよくみられる。
※ 本症例では「呼吸困難」を認めており、要精査となる。
使用している教材
判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える
判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える
オススメ度:★★★
判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える
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心電図検定対策におすすめの本
改訂3版 心電図検定公式問題集(2級/3級)
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オススメ度:★★★
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実力心電図 ―「読める」のその先へ
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レジデントのための これだけ心電図
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オススメ度:★★
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楽しく学んで好きになる!心電図トレーニングクイズ
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続・楽しく学んで好きになる! 心電図トレーニングクイズ2
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オススメ度:★★★
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心電図のみかた、考えかた 応用編
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