【ER心電図 基本編を解く】問題12:Wenckebach型2度房室ブロック。

問題解説

ER心電図 Ⅰ:基本編の解説


判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える

※ ER心電図 基本編(初版第4刷2019年4月)の問題を解いています。
※ 実際の心電図と解説については書籍で確認してください。

問題12:Wenckebach型2度房室ブロックの心電図所見

背景86歳、女性。全身倦怠感
リズム:不整。
心拍数:約 50/分。
左軸偏位(Ⅰ誘導でQRS波の振幅の和が陽性、aVF誘導で陰性)。
移行帯反時計方向回転(V1~V2誘導)。
P波:正常(高さ、幅)。
PR間隔徐々に延長(その後、QRS波が1拍脱落する)
QRS波幅0.16秒程度(約4mm)。V1誘導でrSR’型、V6誘導で深いS波を認める(右脚ブロック型)。Ⅰ・aVL誘導のR波が増高
ST-T部分V1~V4誘導で脚ブロックに伴う二次性ST低下を認める

これらの心電図所見より、「Wenckebach型2度房室ブロック」と考えられる。
本症例では、「完全右脚ブロック」と「左室高電位(解説では左室肥大)」を合併している。

判読のポイント

PR(PQ)間隔が徐々に延長し、続くQRS波が脱落している。
→ Ⅱ度房室ブロック(Wenckebach型)と判断できる。

Wenckebach型Ⅱ度房室ブロックとは?

① 原因:房室結節内の伝導遅延
PR間隔が徐々に延長し、QRS波が1拍だけ脱落する。
③ 脱落後はP波に追従してQRS波が出現する。
脱落前後でPR間隔に変化がある。
 → 脱落後のほうが短い。
⑤ 頻回に脱落する場合、2:1房室ブロックと診断される場合がある。
⑥ MobitzⅡ型、高度房室ブロックとの鑑別を要する。
⑦ 若年者によくみられる。

右脚ブロックとは?

① 右脚の伝導障害を反映した心電図変化。
→ 右脚自体は長く障害を受けやすい
一般集団の約2~3%の頻度であり、50人に1人程度に認められる。
③ 基本的には心疾患との関連はない「良性所見」である。
④ 完全右脚ブロックは「加齢」にともなって増加する。
⑤ 若年症例のなかに「心房中隔欠損症」が隠れている場合がある。

完全右脚ブロックとは?

V1誘導のrSR’型、Ⅰ・V6誘導のS波を認める。
② QRS波の幅が0.12秒を超える。
→ これらを認めた場合、「完全右脚ブロック」と判断する。

高電位差(=左室高電位)とは?

① V5、V6誘導でのR波の高さ>25mm。
② Ⅰ、aVL誘導でのR波の高さ>12mm。
③ SV1+RV5 > 35mm。
→ このうちいずれかをみたす場合に高電位差という。

※左室収縮を反映するⅠ、aVL、V5-V6誘導のR波は、反対のV1誘導から見るとS波として見える。
※本症例では、②を満たす。

左室肥大を疑う心電図とは?

高電位差だけでは正常な若年男性でもみられるため病的意義は乏しい。
→ 高電位差+α(ST変化、陰性T波など)を満たして初めて左室肥大を疑う

※ ただし、左室肥大のST-T変化には明文化された基準はない。
※ 本症例では、脚ブロックのため判断しづらいが、解説では「左室肥大」となっている。

ストレイン型ST-T変化とは?

① J点低下。
② 下行型ST低下。
③ 陰性T波(非対称性)。
 → これらを満たすST低下を「ストレイン型ST-T変化」という。
 → 陰性T波は必ずしも対称性にこだわる必要はない。

 

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