【ER心電図 基本編を解く】問題37:急性下壁梗塞。

問題解説

ER心電図 Ⅰ:基本編の解説


判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える

※ ER心電図 基本編(初版第4刷2019年4月)の問題を解いています。
※ 実際の心電図と解説については書籍で確認してください。

問題37:急性下壁梗塞の心電図所見

背景:38歳、男性。胸痛、嘔気および発汗
リズムやや不整
心拍数:約 69/分。
:正軸(Ⅰ、aVF誘導ともにQRS波の振幅の和が陽性)。
移行帯:正常。
P波:正常(高さ、幅)。洞調律(Ⅰ、Ⅱ、aVF誘導で陽性P波)。
PR間隔:正常。0.16秒程度(4mm程度)。
QRS波:幅0.10秒程度(約2.5mm)。
ST-T部分Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導でST上昇を認める。aVL、V1~V3誘導でST低下を認める

これらの心電図所見より、「急性下壁梗塞」と考えられる。

判読のポイント

Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導でST上昇、aVL誘導で対側性のST低下を認める。
② Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導でのST上昇は左室下壁の貫壁性心筋虚血を示す。
③ 記録時点では心筋壊死に至っていないため異常Q波はみられていない
房室結節に虚血を生じるとⅠ度房室ブロックを呈することがある(本症例ではみられない)。

下壁梗塞

① 下壁梗塞は「ほぼ右冠動脈の閉塞」によって生じる(左回旋枝のこともある)。
② 下壁梗塞は「側壁梗塞」、「後壁梗塞」を合併しうる。
③ 房室ブロックを合併すると徐脈となる。
右室梗塞(右冠動脈近位部閉塞)を合併すると重症となりうる。

下壁梗塞に随伴することのある所見

① 下壁梗塞+V1誘導単独のST上昇
→ 右室梗塞の合併を疑う。
※ 下壁梗塞では全例で右側胸部誘導を記録するとよい。

※ 本症例ではV1誘導のST上昇は認めないため、右室梗塞の合併は考えにくい。

② 下壁梗塞+V1誘導のST部分が正常+V2~V4でST低下
 → 後壁梗塞の合併を疑う。

※ 本症例ではV2~V3でST低下を認める。
後壁梗塞を合併している可能性は否定できない。

使用している教材

判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える

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