ER心電図 Ⅰ:基本編の解説
判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える
※ ER心電図 基本編(初版第4刷2019年4月)の問題を解いています。
※ 実際の心電図と解説については書籍で確認してください。
問題54:洞徐脈の心電図所見
背景:48歳、女性。クロニジンを過量服用後。
リズム:整。
心拍数:約 40/分。
軸:正軸(Ⅰ、aVF誘導ともにQRS波の振幅の和が陽性)。
移行帯:正常(V3~V4誘導)。
P波:正常(高さ、幅)。洞調律(Ⅰ、Ⅱ、aVF誘導で陽性P波)。
PR間隔:正常。0.12秒程度(2.5~3 mm程度)。
QRS波:幅0.10秒程度(約2.5mm)。
ST-T部分:特記すべき所見なし。
これらの心電図所見より、「洞徐脈」と考えられる。
※クロニジン=脳幹部のα2受容体に選択的に作用して「交感神経緊張を抑制」する薬剤。
洞不全症候群とは?
① 原因:加齢や変性に伴う「洞結節の自動能低下、洞房伝導機能の低下」。
一次性:洞結節そのものに原因がある場合(加齢による変性など)。
二次性:洞結節以外に原因がある場合(スポーツ心臓、甲状腺機能低下症、薬剤性など)。
② Ⅰ型:洞徐脈。
③ Ⅱ型:洞停止、洞房ブロック。
④ Ⅲ型:徐脈頻脈症候群。
→ 上室性不整脈(心房細動・心房粗動など)が停止して洞調律に戻るときに「心停止」をきたす。
※本症例では、クロニジンの過量内服による「薬剤性洞徐脈」と考えられる。
洞不全症候群の心電図の見分け方(基本)
① 洞徐脈。
→ P波とQRS波が1:1の関係。
② 洞停止。
→ 延長したPP間隔が正常なPP間隔の整数倍にならない。
③ 洞房ブロック。
→ 延長したPP間隔が正常なPP間隔の「ほぼ整数倍」になる。
④ 徐脈頻脈症候群。
→ 頻拍停止後に心停止。
※本症例では、①と考えられる。
使用している教材
判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える
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続・楽しく学んで好きになる! 心電図トレーニングクイズ2
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