【ER心電図 基本編を解く】問題56:心房細動、心室期外収縮、二枝ブロック。

問題解説

ER心電図 Ⅰ:基本編の解説


判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える

※ ER心電図 基本編(初版第4刷2019年4月)の問題を解いています。
※ 実際の心電図と解説については書籍で確認してください。

問題56:心房細動、心室期外収縮、二枝ブロックの心電図所見

背景:57歳、男性。全身倦怠感、動悸
リズム不整(絶対不整)
心拍数約 140/分
左軸偏位(Ⅰ誘導でQRS波の振幅の和が陽性、aVF誘導で陰性)。
移行帯反時計方向回転(V1誘導、右脚ブロック)。
P波明らかな洞性P波は確認できない
QRS波幅0.16秒程度(約4mm)、延長。V1誘導でrSR’型、Ⅰ・V6誘導で深いS波を認める(右脚ブロック)。Ⅱ、Ⅲ、aVF、V5~V6誘導で異常Q波を認める。11拍目に先行するP波を伴わない形状の異なるQRS波を認める(心室期外収縮
ST-T部分V1~V3誘導で脚ブロックに伴う二次性ST-T変化を認める

これらの心電図所見より、「心房細動、心室期外収縮、二枝ブロック」と考えられる。
ほか、異常Q波より「陳旧性下側壁梗塞」が疑われる。

心房細動とは?

① 心房内に「無秩序な350~600/分の興奮」が起こる。
② 洞結節の興奮は抑制され、「洞性P波は消失」する。
③ 無秩序な心房興奮=基線の細かい不規則な揺れ=「f波」。
④ 心房興奮の一部が心室へ到達し、心室興奮を起こす。
 → RR間隔が不整で規則性がない
 →「絶対性不整脈」と呼ばれる。
※心拍数は房室伝導に依存する。
※完全房室ブロックを合併すると補充調律によりRR間隔が整となる。

心房細動の心電図の特徴

心房細動の病歴が長くなるとf波は徐々に減高する
② f波がはっきりしない場合は「洞停止」や「接合部調律」との鑑別を要する。
③ 心房細動に完全房室ブロックを合併すると「RR間隔が整」になりうる(著明な徐脈となる)。
④ 心房細動でも「心室期外収縮」はみられることがある。

※ 本症例では「f波」がはっきりしない。

期外収縮とは?

① 期外収縮とは「本来の収縮よりも早く出現する収縮」のこと。
② 洞結節以外の場所から刺激が発生する。
③ 刺激の発生部位によって「上室期外収縮」と「心室期外収縮」に分けられる。
洞調律と期外収縮が交互に出現する場合=二段脈
⑤ 洞調律2拍+期外収縮1拍=三段脈。
⑥ 洞調律3拍+期外収縮1拍=四段脈。

※ 本症例では、2段脈となっている。

心室期外収縮(PVC)とは?

幅広いQRS波(0.12秒以上)が早期に出現する
先行するP波を伴わない
③ 洞結節に影響を及ぼさないことが多いため、心室期外収縮のQRS波の中にP波を認めることがある。
④ T波終末期(受攻期)に心室期外収縮を生じると心室細動を誘発しやすい(R on T)。
⑤ 日常診療でよくみられる不整脈である。
⑥ 基礎疾患がないものは臨床的意義は乏しく経過観察でよい。
⑦ 多源性や連発性のもの、放置しておくと生命の危険をきたすもの、基礎疾患を有する治療が必要なものは要精査。

右脚ブロックとは?

① 右脚の伝導障害を反映した心電図変化。
→ 右脚自体は長く障害を受けやすい
一般集団の約2~3%の頻度であり、50人に1人程度に認められる。
③ 基本的には心疾患との関連はない「良性所見」である。
④ 完全右脚ブロックは「加齢」にともなって増加する。
⑤ 若年症例のなかに「心房中隔欠損症」が隠れている場合がある。

完全右脚ブロックとは?

① 主にV1誘導のrSR’型、Ⅰ・V6誘導のS波を認める。
② QRS波の幅が0.12秒を超える。
→ これらを認めた場合、「完全右脚ブロック」と判断する。

左脚前枝ブロックとは?

強い左軸偏位(QRS軸が-45°以上)がある場合に左脚前枝ブロックを疑う。
② Ⅰ、aVL誘導でqR型(正常の波形)。
Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導でrS型が典型的
④ QRS幅が正常。
※ 特徴的な心電図変化を認めず、左軸偏位のみを示す場合に「左脚前肢ブロック」を疑う。
※ 鑑別:左室肥大、下壁梗塞、WPW症候群(C型)など。
S1S2S3パターン(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ誘導の全てで深いS波)と間違えないように注意。

二枝ブロックとは?

① 「完全右脚ブロック+左脚前枝ブロック」または「完全右脚+左脚後枝ブロック」の状態を一般的に「二枝ブロック」とよぶ。
② 右脚および左脚前枝は線維が細く障害を受けやすい。
③ 一方で「左脚後枝」の途絶は稀である。
④ 2枝ブロックは発作性房室ブロック、完全房室ブロックへ発展する可能性が高く注意する必要がある。

※ 本症例では、完全右脚ブロック+左脚前枝ブロックを認める。

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