【ER心電図 基本編を解く】問題97:右室梗塞。

問題解説

ER心電図 Ⅰ:基本編の解説


判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える

※ ER心電図 基本編(初版第4刷2019年4月)の問題を解いています。
※ 実際の心電図と解説については書籍で確認してください。

問題97:右室梗塞の心電図所見

背景:57歳、男性。胸部圧迫感、呼吸困難および嘔気。「症例96と同一患者」の右側前胸部誘導。
リズム:整。
心拍数:約 90/分。
右軸偏位(Ⅰ誘導でQRS波の振幅の和が陰性、aVF誘導で陽性)。
P波:正常(高さ、幅)。洞調律(Ⅰ、Ⅱ、aVF誘導で陽性P波)。
PR間隔0.20秒程度(5mm程度)、Ⅰ度房室ブロック。
QRS波:幅0.10秒程度(2.5mm程度)。
ST-T部分Ⅱ、Ⅲ、aVF、V3R~V6R誘導でST上昇を認める。Ⅰ、aVL、V1~V2誘導でST低下を認める。

これらの心電図所見より、「右室梗塞」と考えられる。

心筋梗塞の部位診断(ST上昇)

① 広範囲前壁梗塞:Ⅰ、aVL、V1~V6。
② 前壁中隔梗塞:V1~V4。
③ 前壁梗塞:V2~V4。
④ 下壁梗塞:Ⅱ、Ⅲ、aVF。
⑤ 側壁梗塞:(Ⅰ、aVL)、V5~V6。
⑥ 高位側壁梗塞:Ⅰ、aVL。

急性下壁梗塞とは?

① ほとんどが「右冠動脈」の閉塞により生じる(左回旋枝の場合もある)。
② 下壁梗塞は「側壁梗塞」や「後壁梗塞」を合併することがある。
③「房室ブロック」を合併すると徐脈となる。
④ 右室梗塞(右冠動脈近位部閉塞)を合併すると重症となる。
⑤ 下壁梗塞+V1誘導単独のST上昇。
→ 右室梗塞の合併を疑う。
⑥ 下壁梗塞+V1誘導のR波増高+V2-V4誘導でST低下。
→ 後壁梗塞の合併を疑う。
⑦ 下壁梗塞では「右側胸部誘導」を記録すると良い。
→ V4Rで1mm以上のST上昇=右室梗塞。

※本症例では、⑦を認める。
※本症例では、下壁梗塞に伴って「1度房室ブロック」を合併している。