ER心電図 Ⅰ:基本編の解説
判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える
※ ER心電図 基本編(初版第4刷2019年4月)の問題を解いています。
※ 実際の心電図と解説については書籍で確認してください。
問題130:心房頻拍の心電図所見
背景:67歳、女性。うっ血性心不全の既往歴あり、重篤なめまい、嘔気および嘔吐。
リズム:不整。
心拍数:約 40/分。
軸:正軸(Ⅰ、aVF誘導ともにQRS波の振幅の和が陽性)。
移行帯:正常。
P波:明らかな洞性P波は確認できない。Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導で上向きの鋸歯状波を認める(レートは約 214/分)。
QRS波:幅0.10秒程度(2.5 mm程度)。Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導で異常Q波を認める。
ST-T部分:鋸歯状波のため判読困難。
これらの心電図所見より、「心房頻拍(種々の房室ブロックを伴う)」と考えられる。
「心房レートが高いが250を超えない」=「心房頻拍」が疑われる(参考)。
解説より、本症例は「ジゴキシン中毒」であった。
心房頻拍とは?
① 心房内に興奮起源を有する頻拍。
② 「異所性P波」が「規則正しく」認められる(起源が1か所の場合)。
③ 「等電位線」を認める。
④ 複数の起源があれば様々な形の異所性P波がみられる。
→ 多源性心房頻拍。
⑤ 心房のレートが200/分を超えると1:1房室伝導が難しくなる。
→ 房室ブロックが起きる。
※ 本症例では、鋸歯状波を認めるが「心房レート」から心房頻拍と判断する(下記)。
「心房粗動」と「心房頻拍」の判別方法
① 「心房興奮頻度」によって見分ける。
心房頻拍 → 基本的に心房興奮頻度が 250 /分 以内
心房粗動 → 基本的に心房興奮頻度が 250~350 /分 程度
※ 本症例では、心房興奮レートが約 214 /分であり、「心房頻拍」が疑われる。
※ この場合、「粗動」という言葉を使わない(解説より)。
「心房粗動」と「心房頻拍」の見分け方
① 等電位線がないのが心房粗動。
② 等電位線があるのが心房頻拍。
※等電位線=連続するP波の立ち上がり部分を結んだ線。
※ 本症例では、この基本的な見分け方は当てはまらない。
使用している教材
判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える
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改訂3版 心電図検定公式問題集(2級/3級)
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実力心電図 ―「読める」のその先へ
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レジデントのための これだけ心電図
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楽しく学んで好きになる!心電図トレーニングクイズ
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続・楽しく学んで好きになる! 心電図トレーニングクイズ2
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心電図のみかた、考えかた 応用編
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