ER心電図 Ⅰ:基本編の解説
判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える
※ ER心電図 基本編(初版第4刷2019年4月)の問題を解いています。
※ 実際の心電図と解説については書籍で確認してください。
問題190:心房頻拍の心電図所見
背景:67歳、女性。脱力、嘔吐、慢性うっ血性心不全患者。
リズム:不整。
心拍数:約 72/分。
軸:正軸(Ⅰ、aVF誘導ともにQRS波の振幅の和が陽性)。
移行帯:正常。
P波:V1誘導で200/分のP波を認める(肢誘導では確認しづらい)。P波とQRS波は1:1対応していない。
QRS波:幅0.12秒程度(3 mm程度)、1拍目は0.2秒程度(非特異的心室内伝導遅延)。
ST-T部分:Ⅰ、aVL、V4~V6誘導でST低下を認める(やや盆状)。
これらの心電図所見と病歴より、「心房頻拍」が疑われる。
解説より、本症例は「ジゴキシン中毒」であった。
心房頻拍とは?
① 心房内に興奮起源を有する頻拍。
② 「異所性P波」が「規則正しく」認められる(起源が1か所の場合)。
③ 「等電位線」を認める。
④ 複数の起源があれば様々な形の異所性P波がみられる。
→ 多源性心房頻拍。
⑤ 心房のレートが200/分を超えると1:1房室伝導が難しくなる。
→ 房室ブロックが起きる。
※ 本症例では、心房レートが200/分であり、房室ブロックを伴っている。
使用している教材
判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える
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オススメ度:★★★
判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える
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改訂3版 心電図検定公式問題集(2級/3級)
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実力心電図 ―「読める」のその先へ
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レジデントのための これだけ心電図
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楽しく学んで好きになる!心電図トレーニングクイズ
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続・楽しく学んで好きになる! 心電図トレーニングクイズ2
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心電図のみかた、考えかた 応用編
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