ER心電図 Ⅱ:応用編の解説
判読ER心電図: 実際の症例で鍛える Ⅱ 応用編
※ ER心電図 応用編(初版第1刷2011年6月)の問題を解いています。
※ 実際の心電図と解説については書籍で確認してください。
問題26:左脚前枝ブロックの心電図所見
背景:56歳、男性。発熱、頻脈および低血圧。
リズム:整。
心拍数:約 150/分。
軸:極端な左軸偏位(Ⅰ誘導でQRS波の振幅の和が陽性、Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導で陰性)。
移行帯:時計方向回転。
P波:正常(高さ、幅:V2誘導でわかりやすい)。洞調律(Ⅰ、Ⅱ、aVF誘導で陽性P波)。
PR間隔:正常。0.16秒程度(4 mm程度)。
QRS波:幅0.10秒程度(2.0~2.5 mm程度)。V1~V2誘導でQ波を認める。
ST-T部分:正常。
これらの心電図所見より、「左脚前枝ブロック」と考えられる。
ほか、「洞頻脈」を認め、V1~V2誘導のQ波より「前壁中隔梗塞」が疑われる。
解説より、本症例は「重症敗血症」による「洞頻脈」であった。
左脚前枝ブロックとは?
① 強い左軸偏位(QRS軸が-45°以上)がある場合に左脚前枝ブロックを疑う。
② Ⅰ、aVL誘導でqR型(正常の波形)。
③ Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導でrS型が典型的。
④ QRS幅が正常。
※ 特徴的な心電図変化を認めず、左軸偏位のみを示す場合に「左脚前肢ブロック」を疑う。
※ 鑑別:左室肥大、下壁梗塞、WPW症候群(C型)など。
※ S1S2S3パターン(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ誘導の全てで深いS波)と間違えないように注意。
心筋梗塞の部位診断
① 広範囲前壁梗塞:Ⅰ、aVL、V1~V6。
② 前壁中隔梗塞:V1~V4。
③ 前壁梗塞:V2~V4。
④ 下壁梗塞:Ⅱ、Ⅲ、aVF。
⑤ 側壁梗塞:(Ⅰ、aVL)、V5~V6。
⑥ 高位側壁梗塞:Ⅰ、aVL。
使用している教材
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