【ER心電図 応用編を解く】問題29:MobitzⅡ型Ⅱ度房室ブロック。

問題解説

ER心電図 Ⅱ:応用編の解説


判読ER心電図: 実際の症例で鍛える Ⅱ 応用編

※ ER心電図 応用編(初版第1刷2011年6月)の問題を解いています。
※ 実際の心電図と解説については書籍で確認してください。

問題29:MobitzⅡ型Ⅱ度房室ブロックの心電図所見

背景:55歳、男性。失神後。
リズム不整。
心拍数:約 60/分。
極端な左軸偏位(Ⅰ誘導でQRS波の振幅の和が陽性、Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導で陰性)。
移行帯:時計方向回転。
P波:正常(高さ、幅)。洞調律(Ⅰ、Ⅱ、aVF誘導で陽性P波)。2、5、8、11、14拍目のP波の後はQRS波が脱落している。
PR間隔:0.16秒程度(4 mm程度)。QRS波の脱落前後でPR間隔は一定。
QRS波:幅0.12秒程度(3 mm程度)。
ST-T部分Ⅰ、aVL、V4~V6誘導で陰性T波を認める。

これらの心電図所見より、「MobitzⅡ型Ⅱ度房室ブロック」と考えられる。
ほか、aVL誘導のやや高いR波(12mm)とⅠ、aVL、V4~V6誘導で陰性T波から「左室肥大」が疑われる。

MobitzⅡ型Ⅱ度房室ブロック

①「正常洞調律」において「QRS波が突然脱落」する。
PR間隔が延長することはない。
脱落前後でPR間隔に変化はない。
④ 原因は「房室接合部の伝導途絶」による。
⑤ 「器質的変化」に起因することが多い。
⑥ 高齢者に多いが、若年者にもみられることがある。

高電位差(左室高電位)とは?

① V5、V6誘導のR波の高さ>25mm。
② Ⅰ、aVL誘導のR波の高さ>12mm。
③ SV1+RV5>35mm。
 → いずれかをみたす場合、高電位差(左室高電位)とする。
※ Ⅰ、aVL、V5-V6のR波は左室収縮を反映し、反対側のV1から見るとS波として見える。
※ 高電位差だけでは正常な若年男性でもみられ病的意義は乏しい。

※ 本症例では、aVL誘導の高いR波から「高電位差」と考えられる。

左室肥大の心電図

①「左室肥大」の心電図の特徴。
 → 高電位差QRS幅延長、ST-T変化、T波の変化
② 高電位差=左室肥大ではない。
 → 高電位差に加えて、ST-TやQRS、T波の変化に注目することが重要
左軸偏位、左房負荷、陰性U波なども伴うことがある。
④ 左室の圧負荷:高血圧、大動脈弁狭窄症など。
⑤ 左室の容量負荷:僧帽弁逆流、心室中隔欠損症など。
 → 心電図ではいずれも「左室肥大」と表現される。
⑥ 左室肥大に伴うST-T変化はⅠ、aVL、V5-V6誘導で確認する。
⑦ 左室肥大のST-T変化には明文化された基準はない。
 → 判断する基準は多少甘めでもよい。
⑧ 安静時のST低下は心筋虚血でないことが多い。

※本症例では、「Ⅰ、aVL、V4~V6誘導で陰性T波」から「左室肥大」が疑われる。
  

使用している教材

判読ER心電図 2(応用編)―実際の症例で鍛える

判読ER心電図 2(応用編)―実際の症例で鍛える
オススメ度:★★★

判読ER心電図: 実際の症例で鍛える Ⅱ 応用編

① 基本編と同じく 「200症例の実際の心電図」を通して心電図判読のトレーニングができます。
簡潔な解説には注意が必要ですが、ある程度の知識と自信がついてきて、症例数をこなしたい人にはオススメです。
③ おすすめの人:中級者以上(1級~2級)

心電図検定対策におすすめの本

改訂3版 心電図検定公式問題集(2級/3級)

改訂3版 心電図検定公式問題集(2級/3級)
オススメ度:★★★


改訂3版 心電図検定公式問題集&ガイド: 受検者必携! 2級/3級

日本不整脈心電学会が出版している公式問題集です。
② 2~3級の受験者を対象とした本ですが、1級相当の問題が19問あります。
③ 最初にこの本で現時点の実力を測ると良いと思います。
④ おすすめの人:すべての受験者(1級~4級)

実力心電図 ―「読める」のその先へ

実力心電図 ―「読める」のその先へ
オススメ度:★★★


実力心電図―「読める」のその先へ

日本不整脈心電学会が出版している書籍です。
② 心電図の基礎知識と代表的な疾患の心電図を網羅しています。
大型本で見やすく解説や鑑別のポイントが充実しています。
④ おすすめの人:すべての受験者(1級~4級)

レジデントのための これだけ心電図

レジデントのための これだけ心電図
オススメ度:★★


レジデントのための これだけ心電図

① 研修医向けの本ですが、心電図を全くの基礎から学びたい人におすすめです。
② 本書のような易しい本でザッと全体像を理解しておくと勉強が楽になります。
③ 一方で、ある程度心電図の知識がある人には物足りないかもしれません。
④ おすすめの人:初学者(3級~4級)

楽しく学んで好きになる!心電図トレーニングクイズ

楽しく学んで好きになる!心電図トレーニングクイズ
オススメ度:★★★


楽しく学んで好きになる! 心電図トレーニングクイズ

30例の心電図を通して心電図判読の基本から応用まで解説されています。
② 心電図から「鑑別疾患を考えるトレーニング」ができます。
→ 心電図検定で試される力です。
解説が非常に丁寧であり、初学者でもつまづくことなく理解できます。
④ おすすめの人:初学者~中級者(2級~4級)

続・楽しく学んで好きになる! 心電図トレーニングクイズ2

続・楽しく学んで好きになる! 心電図トレーニングクイズ2
オススメ度:★★★


続・楽しく学んで好きになる! 心電図トレーニングクイズ2

①「心電図トレーニングクイズ」の続編です。
② 前作同様、解説が丁寧で詳しいため大変おすすめです。
③ おすすめの人:中級者以上(1級~2級)

心電図のみかた、考えかた 応用編

心電図のみかた、考えかた 応用編
オススメ度:★★★


心電図のみかた、考えかた 応用編

① 医師向けの本ですが、実践的な心電図判読の考え方が対話形式で解説されています。
→ 対話形式なのでスイスイ読んでいくことができます。
もう一段上の知識を付けたい人に確実におすすめできます。
③ おすすめの人:中級者以上(1級~2級)

判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える

判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える
オススメ度:★★★


判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える

「200症例の実際の心電図」を通して心電図判読のトレーニングができます。
簡潔な解説には注意が必要ですが、ある程度の知識と自信がついてきて、症例数をこなしたい人にはオススメです。
③ おすすめの人:中級者以上(1級~2級)