ER心電図 Ⅱ:応用編の解説
判読ER心電図: 実際の症例で鍛える Ⅱ 応用編
※ ER心電図 応用編(初版第1刷2011年6月)の問題を解いています。
※ 実際の心電図と解説については書籍で確認してください。
問題43:ST低下の心電図所見
背景:85歳、男性。全身倦怠感、嘔気。
リズム:整。
心拍数:約 60/分。
軸:左軸偏位(Ⅰ誘導でQRS波の振幅の和が陽性、aVF誘導で陰性)。
移行帯:正常。
P波:洞調律(Ⅰ、Ⅱ、aVF誘導で陽性P波)。
PR間隔:0.24秒程度(6 mm程度)、延長(Ⅰ度房室ブロック)。
QRS波:幅0.12秒程度(3 mm程度)。5拍目は心室期外収縮。
ST-T部分:Ⅰ、aVL、V4~V6誘導でST低下を認める。
これらの心電図所見より、「ST低下」と考えられる。
解説より「ジギタリス効果」による「ST低下」であった。
ほか、「非特異的心室内伝導障害(IVCD)」と「Ⅰ度房室ブロック」を認める。
ST低下をきたす主な病態
① 虚血性心疾患
② 左室肥大、右室肥大(ストレイン型)
③ 頻脈
④ 低カリウム血症
⑤ 健常な中年女性
⑥ ジギタリス
⑦ 脚ブロック、WPW症候群に伴う二次的変化
⑧ 交感神経緊張
Ⅰ度房室ブロックとは?
① 原因:房室接合部(房室結節+His束)の伝導遅延。
② PR間隔が延長する(>0.20秒)。
→ 0.24秒以上になるとわかりやすい。
③ PR間隔が常に一定。
④ QRS波の脱落を認めない。
⑤ 無症状で単独の異常であれば経過観察でよい。
⑥ めまい、ふらつき、失神、労作時呼吸困難、易疲労感などの症状に注意。
⑦ 高齢者でよくみられる。
使用している教材
判読ER心電図 2(応用編)―実際の症例で鍛える
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オススメ度:★★★
判読ER心電図: 実際の症例で鍛える Ⅱ 応用編
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改訂3版 心電図検定公式問題集(2級/3級)
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実力心電図 ―「読める」のその先へ
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続・楽しく学んで好きになる! 心電図トレーニングクイズ2
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判読ER心電図 1(基本編)―実際の症例で鍛える
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